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2022.6.28ドローン事業

ドローンを使った塗装とは?高所作業の救世主ドローンの基礎知識と注意点

ドローン 塗装

建築業界では、昔から外壁・屋根塗装などを職人さんの手による人力で行ってきました。足場を組み住宅の屋根に登って、高所作業を行う時などは転落して怪我をしたり、道具が落下して地上の人に当たって負傷させてしまうなどの危険性があります。

そんな中、人災を減らし、作業の効率化が図れるドローンを使った塗装技術が建築業界で注目されています。この記事では、ドローンを使った塗装の基礎知識と注意点を紹介します。

ドローンを使った塗装技術の未来

日本では、まだドローンを使った塗装技術は、本格的な実用化レベルまでには至っていません。ですが、建築業界でドローンを活用する事で人災を防ぎ、作業の効率アップに繋がるのは実証実験の段階で証明されています。

例えば、東洋製罐グループはドローンに塗料が入ったスプレー缶を取り付け、遠隔操作しながら塗装作業を行える「SABOT for Drone」を製造。ホバリング状態から可動式ノズルによって、上下左右方向に的確に塗料の噴射が可能です。可視カメラの他にも、レーザー距離センサーが搭載されていて噴射精度や安全性も高いです。

ドローンに取り付けるスプレー缶は、配管・ノズルごと簡単に取り換える事ができます。ドローンを使った塗装作業は、まだ課題が多いので普及まで時間を要します。その他のビジネス分野では、ドローンを使った作業点検・診断が徐々に普及してきていますから、将来は、本格的に塗装作業にも活用されると、さらに生産性向上が期待できるでしょう。

塗装業であれば、職人が住宅の足場や屋根に登って転落のリスクがある中で、高所作業を行うところを、ドローンを活用したら転落事故を防ぐ事ができます。地上で機体の操縦者は必要ですが、可視カメラが人力に替わって作業場所のチェックをしたり、塗装作業を職人の代わりにする事で人災が起こりにくくなります。

ドローンを使った塗装の基礎知識

塗料を塗る作業は、職人の手による人力であればスプレーガンや、ローラーを使う方法があります。ドローンを使った塗装作業は、ローラーは搭載できないのでスプレーガンと同じ用途で、スプレー缶を装着して吹き付け塗装を行います。

ドローンにローラーが搭載できないとなると、職人の手作業で塗装作業を行った方が塗りムラが無く、作業効率も高いのではと思う方もいるのではないでしょうか。ですが、機体にローラーを搭載できなくても全く問題ありません。

スプレーガンの方が、ローラーで塗装するよりも5倍の広い範囲を塗る事が可能なので作業効率が高いのです。その為、ドローンに塗料が入ったスプレー缶を搭載したり、ホースを接続して吹き付け塗装を行う事で職人がローラーを使用するよりも短時間で作業完了でき、スプレーガン使用時と同じ位の作業効率を発揮できるのです。

しかし、ドローンを使った吹き付け塗装の精度や時間は、操縦者のスキルに影響されるので、熟練された職人レベルの仕上がりを実現する為には、優れた操縦技術が必要とされます。

ドローンを使った塗装の注意点まとめ

ドローン 塗装

ドローンを使った塗装作業は、建築業界で生産性向上が見込まれる為、今後のITテクノロジーの発展に伴い実用化されるのは時間の問題でしょう。現状は、以下のような注意点があるのでドローンの活躍が難しいです。

1.農業用ドローンとは機種が違う

ビジネス分野で、ドローンが主に活躍しているのは農業です。害虫や害獣の監視及び駆除、農薬散布などの用途で使われています。農業用と塗装作業用のドローンは機種が異なります。塗装作業が可能な、東洋製罐グループが製造した「SABOT for Drone」は、農業用ドローンをさらに進化させた性能を持ち、ホバリング状態から可動式ノズルによって吹き付け塗料の精度が高く、作業範囲も広いです。

2.ドローンに積む塗料の量の課題

ドローンを使った塗装作業は、建物の外壁塗装や屋根塗装などで実用化が見込まれています。機体に搭載できるスプレー缶の容量は少ないです。今の段階では、とても一度の吹き付け塗装で完了できるレベルではありません。

その為、スプレー缶の交換を何度もする必要があるので、そうなってくると建物の外壁塗装や屋根塗装に非常に手間がかかります。塗料の量の課題をクリアする為に、ドローンを使ってある程度長時間連続して吹き付け塗装を行えるように、外部から電力と塗料を供給するホースを機体に繋いで飛行させる方法も研究開発が進んでいます。

3.バッテリーの駆動時間の課題

ドローンは、軽量・小型化で大容量・メモリー効果がない・自己放電が少ない・高出力といったメリットがある、リチウムポリマーバッテリーが使用されています。現在、市販されているドローンで5万円以上の高価なタイプでもバッテリーの駆動時間は、30分位しかありません。ドローンを使った塗装作業は、30分間で完了させるのは不可能なので、一度の飛行だけでは吹き付け塗装が終わりません。

何度もバッテリーを交換すれば、長時間の塗装作業が可能ですが、それでは作業準備に手間がかかり作業効率も低下してしまいます。一度の飛行で、何時間も飛行できるバッテリー性能が実用化に求められています。

4.ケレン作業や養生は職人の手が必要

建物の外壁塗装や屋根塗装をする場合、まず塗料を塗る前に付着物を取り除くケレン作業や、関係のない所に塗料が飛散して付かないように、養生をする必要があります。ドローンを使って塗装作業をする場合も同じです。

むしろ、ドローンが風に煽られて狙った所に吹き付け塗装できなかったり、噴射した塗装が風の影響で広範囲に飛散する恐れもあるので、養生は広い範囲で行った方が良いかもしれません。また、ドローンを使ってケレン作業や養生を行うことはできないので、職人の手による人力に頼らざるを得ません。ドローンを使って、塗装作業の全ての工程を行う事は不可能で、職人の手が必要になります。

5.低速飛行やホバリングなどの操縦技術が必要

改造していないノーマルなドローンの操縦でも、訓練しないと難しいので塗装作業用に改良された機体の場合、飛行中の移動や姿勢制御をスムーズに行うのはもっと困難です。ドローンを使って、建物の外壁や屋根の吹き付け塗装を行う時は、低速飛行やホバリングなどをする為、難しい操縦技術が必要とされます。ドローンは通常、地上から機体を操作する事になりますが、屋根塗装を行う時はカメラに映る映像を確認しながら操縦しなければいけません。操縦者が地上から見ている景色と、ドローンのカメラに映る動画の違いによって前後・上下・左右の感覚に狂いが生じてしまうのです。ドローンは、操作が難しいので操縦者が慣れるまで時間がかかってしまいます。

まとめ

ドローン 塗装

ドローンを使った塗装作業は、建築業界ではまだ課題が多く実用化には至っていません。その他のビジネス分野では、建物の点検・診断などでドローンが活躍しています。現状は、建物の外壁塗装・屋根塗装などはまだまだ職人の手が必要です。機械化する事で、職人の手による人力よりも作業効率や安全性を高められるので、将来的には、ドローンを使った塗装作業は普及していくでしょう。