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2022.5.30ドローン事業

ドローンを使った橋梁点検のメリット3選!点検時の撮影技術を解説

ドローン 橋梁点検

日本には国や自治体が管理及び点検している橋梁が約70万基あります。技術者による目視点検で橋梁の老朽化の程度を測っていますが、老朽化している橋梁の増加に伴い点検が急がれており、作業員の手による人力だけではどうしても限界があります。

そこで、スピード感を持った壁面点検を可能にするのがドローンです。ドローン技術の発展により、点検作業のリスクが減ると同時に、様々なメリットがあります。

この記事では、ドローンの橋梁点検のメリットや、点検時の撮影技術などをご紹介していきます。

ドローンを使った橋梁点検のメリット

ドローン 橋梁点検

国や自治体が管理・点検している橋梁は5年に1回、破損や老朽化していないか点検する義務があります。公共工事の調査及び設計などの品質確保に役立つ、国家資格を所持した技術者が行います。今までは、人間による目視や打診・触診点検等が主な橋梁点検の方法でした。しかし広い作業空間や道路の交通規制などが必要になる場合もあり、たくさんの「時間・労力・費用」を要する事が課題になっていました。

現在は、ドローンを使った橋梁点検が実施されるようになり、上記の課題を改善しつつ安全性や正確性も増しています。実際に、ドローンを使用することで3つのメリットがあります。

  1. コストが削減できる
  2. 時間が短縮される
  3. 業務効率が向上する

1.コストが削減できる

橋梁点検では、通常技術者は足場を組む必要があり、大規模になればなるほどコストがかさんでいました。また、エリアによっては、交通規制を行いながら慎重に橋梁点検車を所定の場所に駐車させます。橋の規模が大きいと、点検箇所が多くなるので技術者は準備に手間がかかったり、点検作業にたくさんの人員を必要とします。

ドローンの利用により、操縦者は地上に居たままドローンを飛ばして橋梁を空撮する事ができます。作業員が点検する際に組む足場や点検道具が必要がなく、機体だけで済むため費用コストが抑えられます。ドローンの飛行には、操縦者と機体確認者の最低2人がいれば可能なため、現場に揃える人員コストも抑える事ができるのです。

2.時間が短縮される

ドローンで橋梁点検をする場合、調査する橋梁点検を空撮するだけで簡単に広範囲を調べる事ができるため、点検時間が短縮されます。作業員による打診・触診の点検方法は、足場を組むための車や機材を準備する必要があり、点検に入るまでの準備段階でかなりの時間をとられてしまいます。

また、点検中は、技術者が超音波診断・触診・打診などを高所で実施するので、道具を取り扱っている時や不注意で落下事故が起きるなど危険性もあるでしょう。ドローンの映像を確認するだけで点検を行うことが出来るので、安全性や点検精度も高まります。

3.業務効率が向上する

技術者による橋梁点検は、命綱を装着し点検車を現場に用意して足場を組んだりと調査に入る前のやるべき事に時間がかかります。

ドローンを利用した点検では、映像・画像などで点検記録を電子保存しておくことが可能です。撮影時は壁面を撮影するだけで、帰社後に画像処理をして老朽化した箇所を探し出します。さらに過去の点検履歴を遡る事もできるため、外壁の時間経過を容易に把握できます。

国交省の検証では、技術者による点検は3時間費やすのに対して、無人航空機の点検では60分間で終了と約3倍の時間効率が発揮されたと検証されました。

ドローン 橋梁点検

引用:ドローン活用事例|国土交通省

このように、ドローンを使用すると技術者よりも効率的に点検・修繕できる事もメリットの一つです。

ドローンを使った橋梁点検の注意点

ドローン 橋梁点検

道路や橋などインフラ設備は、交通面で私達の生活を支える大動脈的な役割を果たしています。経年劣化による老朽化は、避ける事はできませんが点検・修理を定期的に行っていけば長持ちさせることが可能です。

ドローンの活躍で、橋梁点検の精度が高くなりましたが、搭載されているカメラの機能や性能次第で結果的に雑な点検になってしまう恐れもあります。橋梁点検でドローンを使う場合の注意点を3つ紹介します。

  1. 画質が粗い可視カメラを使わない
  2. 可視カメラでは暗所の撮影が困難
  3. 法律が整備されていない

1.画質が粗い可視カメラを使わない

ドローンに搭載する可視カメラの画質が粗い場合、傷や破損の見落としに繋がるので注意が必要です。カメラの性能・機能によって点検が雑になってしまっては、せっかくのハイテク技術が最大限に発揮できないので意味がありません。

解決策

可視カメラではなく、点検用に開発された赤外線カメラを使用しましょう。赤外線カメラでは、建物内部の熱を感知して温度の差異を画像に表す事が出来ます。可視カメラだけ搭載された無人航空機では構造物の内部の状況までは把握する事が出来ません。赤外線技術を用いると、建物内部の損傷具合や浮きまで調べる事が可能です。

最近では、産業用ドローン専用に設計された赤外線カメラも発売されています。

2.ドローンの可視カメラでは暗所の撮影が困難

建物の形状によっては、点検する場所に日が当たらないところがあったりします。そのような暗所では、可視カメラで撮影してもハッキリと点検箇所が写りません。

解決策

建造物の内側の熱を感知して、建物の内部状況を調べる赤外線カメラと、外側からの撮影で構造物の破損や浮きなどを調査する可視カメラ。2つのカメラをドローンに搭載することで、診断や点検する位置をより明確にする事ができます。デュアルカメラにより、破損箇所や傷んでいるところを発見しやすくなるというメリットがあります。赤外線カメラなら熱撮写真を撮影する事が可能です。

3.法律が整備されていない

現状壁面点検は、5年に1度、技術者によって点検箇所を近接目視することが決められています。近接目視とは、触診・打診による点検方法です。ドローンは、触診・打音による検査を行う事が出来ないので、法定点検ではまだ利用することは難しいです。

まとめ

橋梁点検にドローンを用いる事で、技術者による調査よりもコストが削減できる、時間が短縮される、業務効率が向上するなど様々なメリットがあります。

ドローンに搭載する可視カメラの機能・性能によっては、満足行くレベルの点検結果が得られない場合があるため、点検用に開発された赤外線カメラを使用したり、可視カメラと赤外線の両方を搭載したデュアルカメラを使用する事で、より緻密で計画的な点検を実現できます。