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2022.6.29ドローン事業

AI搭載ドローンの基礎知識!先端技術の活用事例や5つの課題と解決策

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IT社会となった現代で、人工知能は様々な分野で活用されています。一般的にドローンは操縦者を必要としますが、AIが搭載された機体はコンピューターが飛行状況や飛行ルートを計算したり、センサーで周囲を見渡すなど自律飛行が可能です。

AI搭載ドローンも色々な分野で活用され始めていますが、本格的な普及にはまだまだ課題を抱えています。少子高齢社会の日本では、人口減少に伴い労働者の数も減少しているため、操縦者が必要無いAI搭載ドローンは働き手の負担軽減や労働力不足を補う事ができる重要なツールです。この記事では、AI搭載ドローンの基礎知識と課題を紹介していきます。

AI搭載ドローンの基礎知識

AI(人工知能)の歴史は、1956年にアメリカ・ニューハンプシャー州にあるダートマス大学の数学教授だったジョン・マッカーシー氏が、世界中に広めるきっかけを作りました。ダートマス会議で、「AI」という言葉を発表した事で注目されています。当時の技術では、AI(人工知能)を社会に利用する事は実現不可能でした。それから長い年月を経て、現代では先端技術の目覚ましい発展により様々な分野で活用されています。

AI搭載ドローンの大きな特徴は、「自動飛行・画像解析」が可能です。

自動飛行

AI搭載ドローンは、カメラからの写真情報をもとに自動的に飛行する事ができます。

人間の目で確認できないエリアや、遠距離に機体を飛ばす事が可能です。

画像解析

ドローンに付いているセンサー・カメラなどから、送られてくる情報をリアルタイムで解析する事ができます。

AI搭載ドローンの活用事例

AI搭載ドローンは現在、「農業・警備業・災害現場・測量・医療」などで主に活用されています。

農業

ドローン AI

1haの土地で農薬散布を行う場合、AI搭載ドローンは予め設定した飛行ルートを自動的に飛びながら、約10分で撒く事が可能です。鳥獣対策として、AI搭載ドローンを使って害獣の監視や、飛行ルートを設定し自動巡回させて追い払ったり近寄らせないようにする事ができます。また、農林水産省が作業の精密化・効率化・省力化などを図り高品質生産を実現する為に、「スマート農業」を推進しています。

警備業

ドローン AI

警備業にAI搭載ドローン活用で、人的被害を防いだり管理エリアを自動巡回させる事で、異常の早期発見や不審者情報をリアルタイムに送信する事ができます。綜合警備保障のALSOKは、2020年7月に東京スカイツリーの展望台と東京ソラマチでAI搭載ドローンのみの巡回警備を行い、飛行中の画像解析や人物検知の実証実験に成功しています。

警備業界でのドローン利用については「警備業界へのドローン普及の影響は?メリットや活用事例を徹底解説」もご覧ください。

災害現場

ドローン AI

災害発生時には、早急な状況把握や避難場所への安全なルートの誘導など被害を減らす対策が必要です。災害現場において、AI搭載ドローンを活用する事で人間が立ち入れない場所や、たどり着く事が困難なエリアの状況を素早くかつ簡単に把握する事が可能です。株式会社日立製作所は、ドローンを使って空中からのカメラ撮影や動画撮影などから災害状況を高い精度で解析できるAI技術の開発に成功しています。 

自然災害時のドローン活用については「災害時のドローン活用方法とは?活用事例や飛行時のルールを徹底解説」もご覧ください。

測量

ドローン AI

マップの作成や、土地の位置などの把握や調査に欠かせない業務が測量作業です。ドローンを使った測量には、「グリーンレーザー・画像・レーザー」という3種類の測量方法があります。実証実験も行われており、「株式会社A.L.I. Technologies」はドローン測量で3D都市モデルの構築対象の石川県加賀市と協同で取り組んでいます。3次元都市モデルを使用した、物流ドローンのフライトシュミレーションを行ったり3次元グラフィックスで作成した立体物のデータなどを民間利用しました。

医療物流

医療分野でも、AI搭載ドローンが活躍しています。通院する事が困難な人に、ドローンを使って処方薬を配送する遠隔医療や、災害発生時に医療物資の緊急配送などの実証実験が行われています。高齢化が進んでいる静岡県浜松市天竜区春野町では、「春野医療MaaSプロジェクト」を実施し、ドローンを使って医薬品配達サービスの実証実験に成功しました。

AI搭載ドローンを使った5つの課題と解決策

AI搭載ドローンを様々な分野で安全に普及させる為には、解決しなければいけない5つの課題があります。

  1. GPS電波が取得不可の環境での自律飛行
  2. 高速飛行時の衝突回避の課題
  3. ピンポイントランディングの課題
  4. 軍事利用される危険性
  5. 誤作動やハッキングの課題

1.GPS電波が取得不可の環境での自律飛行

AI搭載ドローンが、正しい経路を自動飛行する為にはリアルタイムで位置情報を伝える、GPS電波の取得が必須です。飛行エリアによっては、非GPS環境の所もあるので自律飛行の課題があります。

解決策

「竹中工務店・(株)センシンロボティクス・(株)ACSL・アクティオ・カナモト」の5社が、建設現場のGPS電波が届かない屋内でAI搭載ドローンを使って自律飛行させる実証実験を行いました。自己位置推定技術(Visual SLAM)という、ACSL独自の画像処理技術を利用してGPS電波が取得不可の環境でも機体の飛行が可能になります。今後は、建設業の他にも様々な分野に応用される見込みです。

2.高速飛行時の衝突回避の課題

AI搭載ドローンが、時速数十kmで高速飛行時に対人対物などを瞬時に検出して衝突を回避しながら、安全に飛行できるのか問題視されています。

解決策

ドローンを使った、衝突回避実験が実施されています。人工知能に障害物を避ける事を学習をさせるなど、改良が進めば課題の解決に繋がると言われています。

3.ピンポイントランディングの課題

AI搭載ドローンは、目的地へ正確に着陸する精度は高くありません。コンピューター制御により、完全自律飛行をするなら数cm程度の誤差範囲での着陸が望ましいです。どの場所でも、正確にピンポイントランディングできるようにする課題があります。

解決策

埼玉県の株式会社アトラックラボは、目的地に小型のRTK-GNSSの基地局を設置する事でAI搭載ドローンのピンポイントランディングを可能にするシステムを開発しています。基地局は、小型の「着陸ベースボックス」と呼ばれており、十数cm程度の誤差範囲での着陸を実現しています。今後は、さらに改良が重ねられ着陸精度も高くなっていくでしょう。

4.軍事利用される危険性 

第二次世界大戦中に、ドローンは軍事利用目的で開発が進められていました。ビジネスの分野などで、平和的な利用をする事が一番の有効活用ですが戦争に使う国もあります。 

解決策

世界中で反戦運動を行ったり、平和を望む人達を増やす事が大切です。そして、戦争自体を引き起こさないようにする事で、AI搭載ドローンの出番は無くなります。

5.誤作動やハッキングの課題 

高圧送電線の付近をAI搭載ドローンが飛行すると、電磁波の影響で誤作動をする恐れがあります。空中で目に見えない色々な電波が飛び交っている事も、機体が電波障害に陥る要因の一つです。また、ハッキングされる事でドローンが操縦不能になるリスクもあります。

解決策

ドローンは、GPS信号を利用して自動飛行を可能にしています。誤作動を起こさないようにする為には、GPSセンサーの改良や色々な電波が混在するエリアでの飛行を避ける事などが必要です。機体の乗っ取りを防ぐ為には、規制やセキュリティーを強化して、ハッキングされないようにしていく事が大切です。

まとめ

AI搭載ドローンは、自動飛行や画像解析などが可能です。従来の一般的なドローンは、可視カメラや赤外線カメラなどで撮影した画像を、ただ表示する事しかできませんでした。人工知能というコンピューターシステムのおかげで、周辺の環境を認識できるようになり、地域のマッピングや対象物の追尾などが行えます。

分析結果のフィードバックもできるようになりましたが、まだまだ現状の課題も多いです。これから発展していくであろうドローンとAIの両分野がお互いに発展しあっていけることが望まれます。