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2022.6.30ドローン事業

鳥獣被害にドローンが活躍!熊などの野生動物から生活を守るドローン活用

鳥獣被害 ドローン

農作物を耕作地で育てている農業従事者は、鹿やイノシシ、鳥獣による被害に日々頭を悩まされています。今までは、罠や電気柵などを土地に設置する事で、少しでも農作物被害を減らそうと努力してきましたが、大きな効果までは得られていません。また、近年住宅地や市街地に熊が出没したなどのニュースが急増しており、野生動物による被害が後を絶ちません。

そこで、より効率的・効果的な鳥獣対策を目指して、ドローンを使った取り組みが行われています。この記事では、熊などの野生動物や鳥獣被害にドローンが活躍している内容や、対策法を紹介していきます。

ドローンを活用した鳥獣駆除とは?

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農林水産省の統計では、熊などの野生動物やカワウ・イノシシ・鹿による令和2年度の農作物への被害額は161億円、被害量は前年比2千トン増加と公表されている状況です。

特に、農作物への被害が多いのが鹿・イノシシによるものです。農作物を収穫するまでには長い月日がかかりますし、材料費や人件費などのコストもかかります。せっかく手間暇かけて育ててきた農作物を、鳥獣によって荒らされるのは生産者にとって大きな痛手です。

もちろん、生産者は手をこまねいて害獣対策を何もしないわけではありません。罠・電気柵などを畑に設置したり、光や音を使用した威嚇などは効果的です。しかし、人力で害獣対策をするのは、たくさんの時間・費用・労力が必要です。そこで、ドローンを活用した鳥獣駆除が注目されています。

ドローンを利用すれば、害獣対策に必要な人員やコストも従来より減らす事が可能です。特に、生産者が農作物の管理や収穫中を狙って襲い、大怪我を負わすリスクがある動物は熊です。熊による被害で、命を奪われてしまう人も年々増えてきていますので、遭遇しないようにしなければいけません。

鹿・鳥獣が原因となる農業被害の現状

鳥獣被害 ドローン

農業で生計を立てている方にとって、鹿・鳥獣などが原因となる農業被害は大きな問題になっています。野生鳥獣への対策として、定期的に狩猟者による捕獲や駆除が行われていますが、狩猟者の高齢化や人員の減少によって生活を守る事が難しくなっているのが現状です。

また、農作物だけに被害が出ているわけではありません。動物を飼育している畜産業従事者もいます。例えば、イノシシは「豚コレラ」という病原菌の感染源だと言われています。養豚場の豚が豚コレラを患うと販売は禁止されるため、感染していない周りの豚も含めて、全頭処分しなければいけません。

鳥獣被害が近年拡大している原因は、農業従事者の高齢化に伴い、農作物を作る土地を管理する人が少なくなっているためです。管理者のいなくなった耕作地がどんどん放置されており、放置された畑に鹿や鳥獣が集まって周辺の耕作地も荒らされてしまうのです。害獣被害が広まっていく事で、生産者達の労働意欲が低下して、さらに放置される土地が増える原因になってしまいます。

鳥獣駆除をする狩人の高齢化も進んでいるので、効率的に駆除ができなくなって農業被害を抑えられないという現状です。これ以上、鹿・鳥獣が原因となる農業被害を拡大させない為には、ドローン活用が必要不可欠でしょう。

ドローンを使って鳥獣被害から生活を守る5つの方法

鳥獣被害 ドローン

熊・鳥獣から農作物や人への被害を守る為には、ドローンの活躍が大きな効果をもたらします。しかし、操縦技術を習得したり法律を理解する必要があるので、まだ農業分野にはにはあまり普及していません。ですが、従来の罠・電気柵を設置するよりも、ドローンを使った鳥獣対策の方が人員削減できますし、費用と労力も抑える事が可能です。

例えば、農作物の被害確認を行う時に、3haの土地を現地踏査する場合、地図化までに8時間程度の時間を要すると農林水産省のデータが出ています。ドローンを活用したら、10分程度の空撮を行い全体の撮影写真の作成に、約2時間で土地の調査が済むので時間効率も良いです。

このほかにも、ドローンを使って鳥獣被害から生活を守る5つの方法を紹介します。

  1. 熊・鳥獣を監視する
  2. 飛行音で熊・鳥獣を追い払う
  3. 空中から農薬散布
  4. ドローンを使った自動巡回で威嚇する
  5. 可視カメラや赤外線撮影で熊・鳥獣の行動パターンを分析

1.熊・鳥獣を監視する

熊などの野生動物や鳥獣避けとして、田畑に「かかし」を置く方法は古くから使われる被害防止の手法です。しかし最近は、動かない物や人間に慣れている熊・鳥獣も現在は多くなってきていますし、適応力や学習能力も低くはないので、あまり効果的な鳥獣対策ではありません。

そこでドローンを使って、熊・鳥獣が農作物を荒らしていないか監視する事で、人的被害や農業被害を防ぐ事ができます。また、土地が広大なほど人力で調査を行う場合、多大な労力と時間が必要です。ドローンを使用すれば、高所から土地の撮影・監視が可能になる為、人力で調査するよりも熊・鳥獣をモニタリングしやすくなります。

2.飛行音で熊・鳥獣を追い払う

ドローンはプロペラが搭載されているので、プロペラの回転する飛行音が鳴ります。ドローンが接近するだけでも、野生動物にとっては未知の音が聞こえるため、追い払う事ができます。さらに、ドローンに搭載されたサーチライトや超音波装置などを照射することで、熊や鳥獣の警戒心が高くなり一目散に逃げていく可能性もあります。一般的なドローンの使い方では静音性に優れた製品が好まれていますが、農業分野では高度な技術も必要ありません。

3.空中から農薬散布

農作物を育てる過程で農薬散布を実施することで、害虫駆除効果があるというのは広く知られていますが、実は鳥獣を寄せ付けない用途もあります。

しかし、農薬散布は航空法で規制されている危険物輸送及び物の投下などに該当します。そのため、国交省への飛行承認申請が必要です。ドローンにより耕作地に農薬散布する前には、下記の飛行マニュアルや注意事項をよく理解し、機体の点検や安全管理などをしっかり行う事が大切です。

4.ドローンを使った自動巡回で威嚇する

ドローンにはGPSが搭載できるため、飛行中に現在位置の特定が可能です。そのため、巡回・監視をする場合、飛行ルートを設定して自動飛行させる事もできます。農作物を育てている土地が広いと、ドローンを使って熊や鳥獣が居ないか調査するのに時間が必要です。

自動巡回させる事で、操縦者の負担を軽減したり熊や鳥獣への威嚇にもなるので、効率的・効果的な追い払いが期待できるでしょう。害獣が通りやすい場所を、ドローンの飛行ルートに設定しておけば、より農業被害を減らす事にも繋がります。

5.可視カメラや赤外線撮影で熊・鳥獣の行動パターンを分析

赤外線センサーを搭載した機体であれば、夜間撮影も可能です。そのため、熊・鳥獣の監視を時間にとらわれずに行うことができます。また、ドローンの可視カメラや赤外線撮影で熊・鳥獣の行動パターンを分析する事も可能です。

例えば、熊による農作物被害が急増する新潟県新発田市では、ドローン活用で赤外線撮影を行っています。撮影データを分析し熊・鳥獣の生態調査や植生マップを作成する事で、野生動物の行動パターンを予測して農業被害を防ぐ取り組みが行われています。

例:【DMM Agri Innovation】熊被害が急増する新潟県新発田市でデジタルテクノロジーを活用した鳥獣被害対策を開始

まとめ

熊などの野生動物や鳥獣によって農作物を荒らされる農業被害が深刻化しています。従来は、罠や電気柵などを耕作地に設置したりで、多大な労力・コスト・時間が必要でした。そこで、最近では生産者の生活を守る為に、ドローンを使った鳥獣対策を実施しています。今後、ドローン活用が普及していく事で、農作物被害の拡大防止が期待されています。