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2022.6.27ドローン事業

LiDAR搭載ドローンによる測量のメリット・デメリットを解説

ドローン LiDAR

建設や土木現場における測量は、従来は時間も手間もかかる作業でした。ドローンやLiDAR技術の登場により、低コストで正確な測量が可能となります。

この記事では、LiDAR技術の概要や、ドローンによる測量のメリットやデメリットについて解説します。

LiDARとは?

LiDAR(ライダー)とは、Light Detection And Ranging(光による検地と距離測定)の頭文字をとった言葉で、レーザーライダーや赤外線ライダー、3Dライダーと呼ばれることもあります。対象物にレーザー光を照射し、その反射光をセンサーで探知することにより、対象物との距離や方向、対象物の形状を計測する方式のことを指します。

LiDARの技術は、今後の幅広い製品への応用が期待されていて、既にLiDARを利用した製品も登場しています。

ロボット型掃除機

ドローン LiDAR

実は私たちの生活に身近なロボット掃除機にも、この技術が使われている製品があります。従来のロボット型掃除機は、前面にあるバンパーが障害物に触れることで障害物を認識していました。現在はLiDARの技術を採用し、障害物にぶつかることなく回避できるようになり、従来は回避が困難だった、カーテンなどのやわらかい素材のものも検知できるようになっています。

さらに、LiDARによって部屋の構造や家具の配置をスキャンして作ったマップをスマートフォンで確認でき、範囲を指定しての掃除が可能となりました。

自動車の運転システム

ドローン LiDAR

現在実用化されている衝突回避システムや自動運転システムは、電磁波によるミリ波レーダーやカメラを利用して前の車や障害物などを検知しています。しかし、対象物の形状や正確な位置関係を把握するのは困難で、システムの正確性や適応環境には限界があります。

そこで、高精度な検知ができると注目されているのがLiDARです。現段階では、コストや地図データとの連携に課題があり開発段階ではありますが、自動運転の実現に向けてLiDARは重要な役割を担っていると言えます。 

ドローンにLiDARを組み合わせた測量方法

LiDARは建設や土木現場での測量にも利用されています。LiDARを利用した測量機器はレーザースキャナーとも呼ばれ、従来は地上型のレーザースキャナーを用いて、地表面のデータを計測していました。

地上型のレーザースキャナーとして、定点から計測する設置型と、移動しながら計測できるウェアラブル型が用いられます。どちらも、実際に測量したい区域内に立ち入って測定する必要があり、山間部や立ち入りが困難な区域での測量は困難でした。

また、ヘリコプターなどの航空機から撮影した複数枚の航空写真を解析して測量を行う方法もあります。ドローンの登場により、航空写真の撮影コストが抑えられていましたが、解析には依然として労力を要していました。

そして、ドローンとLiDARの技術を組み合わせた新しい測量技術が誕生しました。

LiDAR搭載ドローンによる測量のメリットは?

LiDARを搭載したドローンの登場により、効率のよい測量が可能となりました。LiDAR搭載ドローンの具体的なメリットについて解説します。

低コストで正確な測量が可能

航空機を飛行させるよりもドローンのほうが飛行させるための費用や人員の削減が可能となりました。また、広い範囲を短い時間で測量できます。

LiDAR搭載ドローンにより、取得したデータの解析も短時間で可能となりました。複数枚の航空写真の解析や、地上型のレーザースキャナーで測定したデータと照らし合わせての解析には、時間も労力もかかる作業でした。LiDAR搭載ドローンで取得したデータは、専用のソフトを用いることで自動的な解析が可能です。

立ち入りが困難な区域の測量が可能

航空写真による測量では、草木が生い茂った地形の測量は困難であり、地上型のレーザースキャナーを用いて地表面のデータを測定する必要がありました。よって、山間部や立ち入りが困難な測量には不向きでした。LiDAR搭載ドローンでは、草木の下にある地表面のデータも測定可能であり、区域内に立ち入る必要はありません。谷や崖といった危険な区域でも正確な測量ができるのが特徴です。また、樹木の植生密度や成長の程度も把握できるため、林業の分野での活躍も期待されています。

LiDAR搭載ドローンによる測量のデメリットは?

一方、LiDAR搭載ドローンを用いることでデメリットも生じます。導入する際はデメリットもしっかり確認しておきましょう。

機材費がかかることがある

ドローン搭載用LiDARは、より精度の高い測量ができる製品が開発されています。しかし、ドローン本体とLiDARのメーカーが異なる場合には、アンテナなどの機材が別途必要となる場合もあります。製品によっては高額な機材が必要になることもあるので、新しい製品を購入する際には必要な機材を確認しましょう。

天候に左右されやすい

ドローンは小型で軽量であるため、特に風の影響を受けやすいという弱点があります。また、雨や霧などの天候がデータの正確性に影響を与えてしまうことがあります。測量当日の天候を確認しつつ、余裕を持ったスケジュール設定が必要となります。

バッテリーの持続時間に制限がある

ドローンはバッテリーによって飛行するものが多く、一度に飛行できる時間は限られています。予備のバッテリーを準備しておく方法もありますが、測量計画をしっかり立てるとともに、無駄のない正確な操縦技術が必要です。

測量に使われるLiDAR搭載ドローンの例

ドローンを用いた測量において利用されている機材の例を紹介します。

Matrice 300 RTK

ドローン LiDAR

引用:Matrice 300 RTK

産業用に設計された最新型のドローンです。6方向検知機能により障害物を検知し、高い安定性と安全性が特長です。最大飛行時間が55分間であることに加え、防水・防塵性能の全天候型設計により、厳しい環境でも安定した飛行が可能です。

Terra LiDAR

ドローン LiDAR

引用:Terra LiDAR

ドローン(Matrice 300 RTK)にLiDARと6つのGNSSセンサーを組み合わせたレーザー測量機で、低価格で正確な測量が可能です。独自のワークフローにより50haを60分で計測可能であり、最短で計測の翌日にデータを受け取れます。

まとめ

LiDAR技術の概要や、LiDAR搭載ドローンによる測量のメリットやデメリットについて解説しました。従来の方法と比較して、この技術の登場により、計測時間や測量データを出すまでの時間が短縮されました。

測量を行う区域によって、最適な測量方法は異なります。地表面の状態や範囲に応じて、ドローンを導入することで効率的な測量を実現できます。