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2022.5.12ドローン事業

災害時のドローン活用方法とは?活用事例や飛行時のルールを徹底解説

災害 ドローン

日本は、地形・地質・気象などの自然条件により大風や地震・津波などさまざまな自然災害が発生しやすい国土と言えます。強い揺れや高い津波を伴う、南海トラフ地震などの大規模地震が30年以内の近い将来に発生する確率は70%以上であると予想されています。人の力では防ぐことの出来ない自然災害は、日頃から防災対策をしっかりと行っておくことが大切です。

しかし、現実に自然災害が発生した場合、数ヶ月に及ぶ避難生活が必要になったり、道路が塞がってしまい避難が出来なくなるなど、想定外のトラブルが起こり得るのではないでしょうか。

そのような自然災害のトラブルに対し、急激に進化が進んでいるドローンの活用が注目されています。本記事では、災害時にドローンが利用される用途や災害時の飛行注意点、今後ドローンを災害時に利用するために解決しなければならない社会課題についてご紹介します。

ドローンが災害時にできること

ドローンはもともと軍事用に開発されましたが、センサーやカメラの搭載ができるので、近年では民間の利用が進み、行政・企業問わず様々な用途で利用が進んでいます。

1.空中撮影による状況の把握・記録映像の撮影

ドローンの第一の用途は、空中からの撮影です。火災や津波の発生時など、人が入れず現状が確認できない場合や、全体の状況を俯瞰で確認したい場合に最適です。

今まではヘリコプターを使用して上空から現場の確認を行っていましたが、時間と費用がかかりすぎていました。そこでドローン撮影に置き換えることができれば、より安価で迅速に現場へ向かうことができ、リアルタイムの情報を撮影することが可能です。

また、災害発生後に塞がれてしまった道路を復旧する際の状況確認や、救助に向かう際の登山ルートに障害物がないかの確認などにも使われています。

2.逃げ遅れた人の捜索・犯罪を防ぐためのパトロール

遠隔での撮影が行えることにより、人が立ち入ることのできない倒壊した建物のなかに人が残っていないか探索する際にも活用されています。赤外線センサーを搭載できるタイプの機体もあるため、温度変化によって人がいるかを視覚化できます。

また、大震災時には被災地が無人になっていることから、壊れた建物や車に容易に侵入出来てしまい、便乗犯罪が発生しやすくなります。東日本大震災の際には、「自転車・オートバイ盗難」「空き巣」「ガソリン盗難」などの被害が発生しています。震災発生から3か月間に、岩手、宮城、福島3件でATMから現金が窃盗される事件が56件あり、被害増額は6億8440万円にも上ったと言われています。これまでは難しかった被災地のパトロールにドローンを使うことで、便乗犯罪の防止にも繋がります。

*何よりも救助に向かう隊員の安全を確認でき二次災害を防ぐことができます。

3.孤立地域などへの物資の運搬

災害時は避難所での生活も困難が発生します。多くの道路が津波や崖崩れなどで塞がれてしまい、集落や町ごと孤立してしまうことは少なくありません。孤立した避難所へは救援物資を届けることすらも難しくなります。

個人が持ち出せる防災グッズには限界があり、数週間、数ヶ月と長い避難生活を強いられる状況では食料や生活必需品が不足してしまいます。2019年の台風19号による被害の際には、孤立した集落へドローンを使って2.5kmの距離を3往復して救援物資を無事に届けることに成功しました。現状ではまだ、一度に2〜3kg程度の重さまでしか運べませんが、今後の技術革新により本格的な災害の際にも活用できるようになることが期待されてます。

災害時にドローンを飛行させる際の注意点

災害 ドローン

通常時には、ドローンを飛ばす際には航空法(改正航空法)により、飛行場所、方法など、安全確保のための規制を守る必要があります。

飛行許可が必要な場所

ドローンの飛行には、安全を確保するために事前に許可が必要な場所があります。空港周辺・150m以上の上空・人口集中地区の上空は危険性が高いため必ず許可を得たうえで飛行を行いましょう。

許可が必要な場所の規制以外も、注意すべき点や提出するべき書類がありますので国交省のホームページで事前に確認しておくことが大切です。

承認が必要な飛行環境

  • 夜間の飛行
  • 目視外飛行(肉眼で確認できない範囲の飛行)
  • 30m未満の飛行
  • イベント上空飛行
  • 危険物の輸送(爆発物や刃物などの危険物)
  • ドローンから物を投下する行為

安全確保のための規制

  • 第三者が立ち入った場合の措置
  • 飛行計画(飛行当日の計画を事前に提出)
  • 飛行日誌の提出(飛行の内容を記録して提出)

災害時は一部規制が除外される(事後申請が必要)

災害時には、上記の規約が適用にならない「捜査・救助のための特例」があります。対象は、国または地方公共団体の依頼により捜索又は救助する場合(航空法施行規則236条の7)とされています。

現状、ドローンを飛行させる場合に免許は必要ありません。災害時にドローンを飛ばす場合は、国や地方公共団体からの依頼を受けていれば飛行させることができます。2022年には、災害時やインフラ対応などドローン産業を活性化させるために、「有人地帯での目視外飛行」に対して免許制度化される予定です。

あくまでも人命の救助や捜索など緊急性が高いことで規定を除外されていますが、安全性の確保については責任があります。ドローン飛行の際は、安全確保に十分に注意するようにしましょう。

災害時にドローンを活用するための課題

災害 ドローン

安全に関する課題

火災や津波が市街地で発生した場合、ドローンを飛行させる際には安全を確保する必要があります。

ドローンは遠隔で操作しますが、絶対安全というわけではありません。火災の場合は、誤って木に当たる可能性や障害物に衝突する可能性もあります。障害物に衝突した場合、墜落したドローンが人に落下すれば大けがを伴う事故になります。現場の安全を確認したうえでの飛行させることが大切です。

通信に関する課題

ドローンは、電波を利用して操縦します。災害時は、携帯電話などの電波が頻繫に行き交うため通信障害が発生する可能性があります。その他にも、携帯基地局のアンテナがある場所や高層ビルの間なども通信障害が発生しやすいため飛行経路のシミュレーションを事前に行っておくようにしましょう。(レピーター機能を有する機体も出てきています)

荷物の制限に関する課題

現状の条例では、ドローンの最大積載量は25kgと定められています。26kg以上になると飛行機と同じ扱いになってしまうため、ドローンとはまったく違うものとなってしまいます。

そのため、機体の重さが20kgの場合、積載する荷物は5kg未満に抑える必要があり、多くの物資を輸送するためには、現場へ何度も往復させる必要があります。時間が掛かり、何度もドローンの飛行が必要なため危険も伴います。今後は、一度でたくさんの荷物を運ぶことの出来るドローンの開発と法規制が求められています。

今後も大注目な災害時ドローンの活躍

災害 ドローン

この記事では、災害時のドローン活用方法や今後の課題、災害時にドローンを飛行させる際のルールをご紹介しました。

ドローンは災害時に、搭載したカメラでリアルタイムに現場状況の確認をしたり被害者の捜索・犯罪の抑制などに活用されています。また、2~3kg程度ではありますが、孤立した地域への物資の運搬にも役立っています。(注1適応)

災害時にドローンを飛ばす場合、現状は国や地方公共団体からの依頼を受けていれば免許なしで飛行させることが可能です。その際には、通常の「航空法」による規制は一部除外となります。規制が除外になっても、人身事故の発生がないよう安全を確保したうえで操縦することが重要ですので十分に注意しましょう。

課題として、安全面や通信障害・荷物の制限などがありますが今後の技術革新により課題を解決し災害時にもっとドローンが活躍できることに期待がされています。

より多くの人が災害時にドローンを活用できるようにするため、2022年からドローン飛行は免許が制度化される予定です。どんどん進化する今後のドローンにも注目していきたいですね。