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2022.6.26ドローン事業

デリバリーでもドローンが活躍する未来!メリットや課題を紹介

ドローン デリバリー

UberEatsなどのフードデリバリーや、ネットスーパーなどの宅配サービスは私たちの生活に溶け込んできました。そして数年前から、ドローンを利用したフードデリバリーや荷物の宅配サービスの実証実験が全国各地で行われています。ドローンを導入することで、物流サービスの質が高まり、生活がより便利になることが期待されています。

この記事では、ドローンによるデリバリーの実現に向けての取り組みや課題について解説します。

ドローンによるデリバリーサービスの未来

コロナ禍により利用が増えたフードデリバリーや荷物の宅配サービス。自転車やバイク、トラックでの配達が多いですが、ドローンを使った配達方法が実現に向けて動き出されています。

ドローンを用いたデリバリーの展開については、以下のようなレベルで段階分けされています。

レベル1

目視内

手動操作

無人地帯・有人地帯

レベル2

目視内

自立飛行

無人地帯・有人地帯

レベル3

目視外

自立飛行

無人地帯

レベル4

目視外

自立飛行

有人地帯

無人地帯とは主に離島や山間部を指し、有人地帯は都内や住宅地を指します。政府の成長戦略や官民協議会は、2022年度を目途に有人地帯でのドローンの目視外飛行(レベル4)を達成し、「ドローンを使った物流社会」の実現を掲げています。実現に向けては課題もあり、現在はレベル3までが国土交通省航空局への申請で許可が得られています。

具体的には、施設内での限定的な実用化はされていますが、街中での利用に関してはまだ実験段階で、普及には至っていません。

ドローンを用いたデリバリーの実用化に向けた取り組み

物流業界におけるドローンの参入は数年前から注目されており、世界だけでなく国内でも多くの取り組みが行われています。それらの取り組みの一例を紹介します。

Amazonのドローン配送サービス

ドローン デリバリー

引用:Amazon Prime Air prepares for drone deliveries|Amazon

Amazonは2013年に、自律飛行のドローンを用いた配送サービス「Amazon Prime Air」の構想を発表しました。以来、「注文から30分でのお届け」の実現に向けた取り組みを行っています。開発や実験は主にアメリカで行われており、FAA(連邦航空局)の厳しい規制により、サービスの開始は難航していました。

そんな中、2020年8月ついにFAAの許可が下り、小型ドローンによる配送が「航空運送業者」としての指定を受けました。指定を受けたことで、アメリカの上空で配送のためのドローン飛行が行えるようになりました。2022年の後半には、カリフォルニア州ロックフォードで「Amazon Prime Air」の導入が始まる予定です。アメリカ以外の国においては、イギリスで導入プロジェクトが開始されていますが、日本での導入は未定です。

無人地帯でのデリバリーの実現

日本国内でも、ドローンを用いた配送サービスの実現に向けた取り組みが行われています。

楽天は、ドローンを用いた配送サービス「そら楽」2016年に千葉県のゴルフ場で、ゴルフ用品や飲食物のデリバリーサービスが実験を兼ねて行われました。

利用者は専用アプリで注文や受け取り地点(コース)を指定します。ドローンは自立飛行で商品を運び、商品を地上に置くと自動で帰還します。ゴルフ場での利用の他に、離島や山岳地帯での配送も実験的に行われました。

日本郵便では、2018年に福島県南相馬市と浪江町において、日本初のレベル3にあたる無人地帯での目視外自律飛行による郵便物の配送実験を行いました。また、2021年12月からは、地上を走る配送ロボットとドローンを連携させた配送の試みを東京都奥多摩町で行っています。

いずれも無人地帯での実験段階であり、今後はレベル4(有人地帯での目視外自立飛行)の実現が求められています。

敷地内でのフードデリバリーの実現

2021年11月20日に、東京都港区のウォーターズ竹芝内の屋外広場にて、付近のレストランからドローンを用いて食事を提供するという実験が、JR東日本とKDDIの「空間自在プロジェクト」の一環で行われました。これは、都内で初めての有人エリアでの実験となりました。また、料理があたたかい状態で見た目も大きく損なわれることなく提供できたことは、ドローンのフードデリバリーへの活用の大きな一歩となりました。

また、いばらきフラワーパークでは2022年2月から、園内のレストランから山頂エリアへのフードデリバリーを大型ドローンを用いて行っています。受け取り場所の山頂にいるドローンオペレーターがドローンから食事を取り出して、お客さんに手渡しするという仕組みです。悪天候の場合は中止となることもありますが、国内で初めて、ドローンによるフードデリバリーサービスが実現しました。

ドローンを用いたデリバリーのメリットは?

日本国内でも、ドローンを用いたデリバリーサービスの実現に向けて、多くの企業で積極的な取り組みが行われています。ドローンの利用が事業者や利用者にもたらすメリットについて解説します。

配送員の人員不足を補える

インターネットショッピングやフードデリバリーサービスの利用の増加により、物流業界では人員不足が課題になっています。フードデリバリーの場合は自転車やバイクで配達することが多く、真夏の暑い時期など、季節によってはスタッフに大きな負担がかかります。

ドローンを用いることで人員不足を補えるだけでなく、人件費の削減にも繋がります。

短い時間で届けることが可能

渋滞などの道路状況に関係なく届けられることは、ドローンの大きな強みであると言えます。特に荷物の発送の場合には、営業所を経由したり、トラックに複数軒分の荷物を積んだりすることなく、送り主から直接発送できるため、配送時間の大幅な短縮が見込めます。

過疎地域や災害地への配送が可能

ドローンの強みは、過疎地域でより発揮されると言えるでしょう。ドローンを用いることで、山間部や離島への配送も、陸路でかかる時間や船の便数に関係なく届けられます。山間部や離島へは配送料も高くなりがちですが、ドローンを用いることで配送にかかるコストの削減も期待されています。

また、災害により陸路での立ち入りが困難となり、ヘリコプターの着陸が難しい地域に物資を届ける際にもドローンの活用が期待されます。

ドローンを用いたデリバリーの課題・注意点は?

ドローンを使った物流社会が実現すれば、日常生活がより便利になりますが、実現に向けては解決しなければならない課題が多くあります。

安全性への課題がある

レベル4への実現に難航している理由としては、安全性への課題が挙げられます。

国内で定められているドローンの飛行高度は上空150m未満であり、航空機との衝突の可能性は低いと考えられますが、建築物や電線・電柱、人との衝突の危険性を心配する声も上がっています。また、機体に何らかのトラブルが起きたときに、人口密集地域では着陸する場所が少ないことも懸念材料として挙げられます。

安全性の確保のため、衝突回避システムや、落下時のパラシュートシステムなどの開発が積極的に行われています。

また、セキュリティ面における課題もあります。利用者が商品を直接受け取る場合、本人確認方法が確立していないため、商品の誤配送や盗難の可能性があります。また、ドローンそのものを盗まれてしまう可能性も考えられます。

それに対し、ドローンが撮影した映像を5Gネットワークで伝送して本人確認を行う方法が登場しています。セキュリティ面に関しては、法律やガイドラインの整備も求められています。

天候に左右されやすい

現時点では、ドローンが安全に飛行できる条件は風速5m程度までと言われています。また、全国で行われている実証実験や、施設内で行われているデリバリーサービスも、天候のよいときに限られています。

ドローンによるデリバリーの実用化に向けては、風や雨などの天候に関係なくドローンを安全に飛行できることが求められます。天候に左右されにくいドローンの実現に向け、機体の飛行性能の向上開発が進んでいます。

インフラ整備が必要

ドローン本体の性能や、飛行システムの向上だけでは、レベル4でのドローンの活躍の実現は難しいでしょう。機体の離発着場、電波障害が起こらない環境などのインフラ整備が必要不可欠です。また、上空を飛行する土地の所有者の許可など、住民の理解も必要です。

まとめ

物流業界へのドローンの参入により、私たちの生活が便利になることが期待されています。実用化にはまだ課題が残されていますが、ドローンによる物流社会に向け、求められているレベル4まではあと1段階のところまで到達しています。今後もドローンの性能が進化していくことが期待されます。