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2022.6.6ドローン事業

物流ドローンによる配送業の未来|実用化にむけた5つの課題と解決策

ドローン 物流

物流業界では、新たな配送手段としてドローン活用を推進しています。大きな理由の一つに、日本国内の貨物輸送量はトラックによる輸送が90%を占めており、地球温暖化の原因となる排気ガスが大量に放出されている環境問題があります。

ドローン 物流

引用:国内貨物各交通機関の分担率の推移|国土交通省

しかし、物流業界でドローンを使用する為には、問題点も多いので実用化は簡単ではありません。この記事では、ドローンを物流業界で活用する理想の未来と現状の課題を紹介していきます。

ドローン活用で訪れる物流業界の未来

ドローン活用は物流業界の中でも運送業での活躍が主に期待されています。積載量の観点で見ると、現在のドローンではトラックと同等の積載能力は実現できません。つまり、物流用ドローンは一度に多くの荷物を配達できないと言う事です。

しかし、トラックや人力での荷物の配送では、配達エリアが限られています。例えば、「道路が無い森林地帯」へのお届け物や、「海上・離島・高層マンション・ビル」などへの配送はトラックや人力で行くのは不便です。そこでドローンを活用する事で、配達エリアに制限が無くなりスピーディーに荷物を届ける事が可能です。配達エリアに制限が無くなるのはあくまで想定上で、現状はDID地区(飛行禁止区域)や法律の問題があるので、国内のどこにでも飛ばせるわけではありません。

日本の物流業界では、荷物輸送の大半をトラックが担っています。ドローン活用で、運送業の仕事は大きなメリットを得られますが課題も多いので、すぐにはトラックに替わる手段としての利用は難しいです。現状の方法とドローンのどちらも使用していく事が、最大限に業務効率化を高める鍵となるでしょう。

物流業界の問題点はドローン活用で解決できる?

 

ドローン 物流

日本国内の物流における宅配便や荷物などの配送量は年々増加傾向です。そのため、必然的に商品を届けるトラックの稼働台数も増え、交通渋滞が起こりやすくなります。交通渋滞が激化すると、配達時間に遅れが生じたり事故のリスクが高まります。ドローンを活用できれば、飛行中は渋滞が発生する心配はないので、スムーズに荷物を客先に届ける事が可能です。

他にも、物流業界には3つの課題があるとされています。

  • 環境問題
  • 労働力不足
  • 競争過多

1.環境問題

物流業界は、特に運送業はトラックによる荷物配送が90%を占めています。ですので、排気ガスの影響が地球温暖化や自然破壊の原因になっています。

2.労働力不足

厚生労働省の「政府統計e-Stat」では、一般職業紹介状況『職業安定業務統計』として、「トラックドライバーを含む自動車運転の職業」の有効求人倍率が出ています。2013年〜2019年の統計データで、有効求人倍率が6年間で「2.15→3.78」まで急上昇している事から、年々、労働力不足が加速している問題があります。

3.競争過多

トラック輸送業は1990年に「貨物自動車運送事業法」の施行により、大幅な規制緩和となり参入事業者が増えました。その影響で、運送業は競争が激しくなり利益率の低下や、労働者の低賃金問題、長時間労働問題などを招いています。

物流用ドローンを使った配送実用化の5つの課題と解決策

ドローン 物流

ドローンを使用した新しい物流の形を実現していきたいところですが、配送実用化に向けては5つの課題があると考えられます。

  1. 配送中にドローンが破損・墜落する恐れがある
  2. 飛行中に対人対物に衝突する危険性
  3. ドローンと荷物が盗まれる危険性
  4. 物流用ドローン活用で荷物の重量制限の課題
  5. 配送中のGPS精度・バッテリーの課題

1.配送中にドローンが破損・墜落する恐れがある

現在使用されているドローンの多くは、雨風の影響をまともに受け、耐風性能・防水性能が備わっていません。悪天候の中で飛行させると、機体が風に煽られ障害物に衝突して破損や墜落したり、水に濡れて電子基板がショートし墜落の原因になります。他にも、空中を飛んでいる物体や鳥などに衝突する危険性があります。

解決策

ドローンによる配送実用化を実現する為には、多少の悪天候でも問題なく使用できる機体性能が必要です。現状は毎秒5m程の風速しか耐えられない機体がほとんどですが、毎秒10m程の耐風性能があれば配送に支障を来たしにくいと思われます。

2.飛行中に対人対物に衝突する危険性

飛行機やヘリコプターなどは、日常で人々の上空を飛行している飛行機やヘリコプターは安全性に問題が無いと判断されているため、私達は頭上を気にせず安心して生活をする事ができています。しかし、ドローンはまだ高い安全基準を満たす為の実験検証データが揃っていません。ドローンで荷物を一般家庭に届けるのであれば、住宅地の上空を飛行する必要が出てきます。そのため、飛行中に対人対物に衝突する危険性は無いとは断定できないのです。

解決策

機体にパラシュートを装着させて制御不可能に陥った時には、衝突時の衝撃を緩和させるような安全対策が必要です。また、民間企業の有識者や行政関係者によって構成される「物流用ドローンポート連絡会」が国土交通省によって設置され、ドローンが安全かつ自動的に離着陸できるようにしています。

3.ドローンと荷物が盗まれる危険性

荷物配送中や離着陸時に機体・商品が盗難されるリスクが残っています。物流用ドローンは、市販されている機体よりも性能アップの為に色々な機能をカスタマイズしており高価です。また、機体は電子制御で作動していますから、ITリテラシーが高い人からのハッキングにも注意する必要があります。

解決策

ドローンと荷物を盗まれないようにする為には、住宅街や人が密集する場所を避けて、まずは企業への配送を行ったり、緊急性がある物を届けるだけにしておいた方が良さそうです。そして、機体性能の向上・セキュリティーの強化ができたら、一般家庭への実用化に繋がります。

4.物流用ドローン活用で荷物の重量制限の課題

配送する荷物は、顧客ごとに「種類・サイズ・重量」などが違います。1度の飛行で重い商品をまとめて配達できれば効率も良くなりますが、現状の物流用ドローンは何百kgも荷物を積める性能も法的規制もありません。

解決策

ドローンの最大積載量を上げる為に、機体やバッテリーの軽量化を図る必要があります。また、機体のサイズアップや性能を向上させたりして、多くの荷物を積めるようにできれば配送時にかかるコスト削減や時間短縮に繋がります。

5.配送中のGPS精度・バッテリーの課題

ドローンはバッテリーの容量が大きいほど飛行時間が長いです。しかし、現在のドローンは30分程度しか飛行できないと言われているので、移動距離が長いと途中で墜落する恐れがあります。また、荷物を積みすぎるとバッテリーに負荷がかかり飛行可能な時間が減ってしまいます。そして、ドローンが飛行中に安全な飛行ルートを進むには、GPS(位置情報)の精度が高くないといけません。

解決策

ドローン用のバッテリーは、製造メーカーが容量を大きくする取り組みを行っている最中です。電池材料を性能の良いものにするための研究開発も同時に進められています。ドローンを安全に飛行させる為には、障害物のない飛行ルートの確保や、飛行中の機体に電波障害が起きないような環境を作る必要があります。

まとめ

ドローン 物流

物流業界でもドローンの活用が推進されていますが、現状の課題がたくさんあるので実用化までは時間がかかります。営利目的で利用するにあたり、ソフト面とハード面の両面でセキュリティー対策も考えなければいけません。ドローンで荷物を配送する未来はまだまだ先になりますが、現状の問題点に対する解決策は出ているため、将来的には配送実用化は可能でしょう。